相続が発生したら、まず、「相続人」と「相続する財産」を特定するための調査を行い、被相続人名義の不動産、自動車、現金、預貯金、有価証券等のプラスの財産や金融機関からの借入金等のマイナスの財産といった相続する財産の内容によってその後とるべき手続きが変わってきます。 借金などのマイナスの財産がプラスの財産より多い場合は、相続を放棄する相続放棄などの手続きをする必要があります。
亡くなられた方(被相続人)の相続人を特定するためには、戸籍調査を行う必要があります。住んでいた場所すべての戸籍を取得する必要があり、取得すべき戸籍が10通以上になるケースもあり、注意が必要です。
相続財産のなかに登記された土地・建物がある場合は、所有権移転の登記(相続登記)をします。
相続登記とは、不動産の所有者が亡くなった時に、その不動産の登記名義を亡くなった方から 相続人へ名義の変更を行うことをいいます。
相続登記には、相続税の申告のような期限はありません。だからと言って相続登記を長期間放置しておくと、いろいろと不都合なことが起こります。
例えば、不動産が被相続人(亡くなった方)の名義のままでは、その不動産は売却することも、担保に入れて抵当権設定をすることも出来ません。
また、相続登記を放置している間に相続人も死亡してしまい、新たな相続が発生してしまうこともあります。こうなると相続人もどんどん増えていき、相続人が増えるにつれて人間関係も希薄になっていきますので、話し合いが非常に困難になってしまいます。場合によっては、連絡先が分からない相続人が出てきたり、相続人が生きているのかさえ分からないという事態が起こることもあります。このような状態になると、名義変更は困難になり、いざという時に簡単には売却できない財産として残ってしまう恐れがあります。
更に、相続登記をしていないと、翌年以降の不動産の固定資産税につき、相続人の一人に対して税務署が便宜上課税してしまい、特定の相続人だけが税負担の不利益を被ることになり、後のトラブルに発展する可能性があります。このような事態にならない為にも、相続登記は速やかに済ませておきましょう。
遺産承継業務とは、自分の財産の管理やその他の生活上の事務の全部または一部について、自分の代わりに行なう代理権を与える人を選んで、具体的な管理内容を決めてお任せするものです。 司法書士は、相続人から依頼を受け、遺産管理人として相続財産の承継事務をすることができます。銀行預金などの解約手続き、株式・投資信託などの名義変更手続き、生命保険金などの請求、不動産の任意売却などの相続にまつわる煩雑な手続きを、相続の専門家である司法書士が執り行います。
遺言書とは、自分が死亡したときに、自分の財産を誰に取得させるか等を、定められた様式に従って、生前にあらかじめ決めて書き残すものです。
遺言書を作成することによって、財産を誰に残すかをご自身で決めることができるため、自分の死後、遺産分割協議をする必要が無く、相続人らが相続財産をめぐって争いを繰り広げることを避けることができます。
また、遺言書を作成しておけば、法定相続人以外の人に相続財産を残すことも可能です。
相続人が被相続人から受け継ぐべき遺産のすべてを放棄することを言い、被相続人の負債が多い場合や、家業の経営を安定させる為、長男以外の兄弟姉妹が相続を辞退するときなどに使われます。相続開始を知った日から3ヶ月以内に相続放棄の手続きをしなければ、単純承認となり負債が多い場合はそのまま負債を相続してしまうのでの注意が必要です。
また、相続財産に対して、負債の方が多いかどうか判断がつかない場合には、相続分がマイナスにならない程度に遺産を相続する限定承認という方法もあり、相続開始を知った日から3ヶ月以内に限定承認を行わない場合は、遺産のすべてを引き継ぐ単純承認とみなされます。
相続人となるべき人が既に全員死亡していたり、 相続人が全員相続放棄した場合には、 相続人がいない状態になります。
この状態のことを「相続人不存在」と言います。
相続人不存在となった場合に、 亡くなった人の財産は一定の手続きを経て、すべて清算されたり、国のものになったりなります。そのためにまずは相続財産を管理する「相続財産管理人(そうぞくざいさんかんりにん)」が選任されます。